外国人雇用・在留資格

技能実習・育成就労・特定技能の違い
―― 制度の目的から転籍・家族帯同まで徹底比較

最終更新:2025年12月  |  参照:出入国在留管理庁・厚生労働省 各制度運用要領
外国人を雇用する際に必ず話題になるのが「技能実習」「育成就労」「特定技能」という三つの制度です。名称が似ているため混同されがちですが、制度の目的・在留期間・受け入れ方法・転籍の可否・家族帯同の扱いなど、重要な点で大きく異なります。本コラムでは、出入国在留管理庁・厚生労働省が公表している各制度の運用要領をもとに、企業の担当者が押さえるべき違いをわかりやすく整理します。

まず一覧で確認する

比較項目 技能実習 育成就労 特定技能1号 特定技能2号
制度の目的 技能の開発途上国への移転(国際貢献) 人材育成 + 人手不足分野の人材確保 即戦力となる外国人材の受入れ 熟練した技能を持つ外国人材の受入れ
根拠法 技能実習法(外国人技能実習機構が管轄) 育成就労法(外国人育成就労機構が管轄) 出入国管理及び難民認定法(出入国在留管理庁が管轄)
在留期間 最長5年(1号1年+2号2年+3号2年) 原則3年 通算5年以内(1回最長3年) 上限なし(更新制)
受け入れ形態 企業単独型 / 団体監理型 単独型 / 監理型 直接雇用(労働者派遣は農業等一部を除き不可)
転籍(転職) 原則不可(やむを得ない事情のみ例外) 条件付き可(分野ごとの制限期間経過後、試験合格が必要) (在留資格変更許可が必要) (在留資格変更許可が必要)
家族帯同 不可 不可 不可 (配偶者・子)
永住許可 対象外 対象外 対象外 要件を満たせば申請可
技能水準の確認 技能実習評価試験(段階ごと) 育成就労評価試験(初級・専門級)または技能検定3級 特定技能1号評価試験(分野ごと)+ 日本語試験 特定技能2号評価試験(分野ごと)
主な監督機関 外国人技能実習機構(OTIT) 外国人育成就労機構 出入国在留管理庁(各地方局)
開始年 1993年(現行制度は2017年) 2027年4月(予定) 2019年4月
育成就労の開始時期について:育成就労制度の運用要領は令和8年2月時点で公表済みですが、育成就労外国人の受入れ開始は令和9年(2027年)4月1日の予定です。当面は技能実習制度が並行して運用されます。

各制度の目的と位置づけ

技能実習制度:国際貢献が建前だった制度

技能実習制度の運用要領には、制度の趣旨として「我が国で開発され培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、その開発途上地域等の経済発展を担う『人づくり』に協力することを目的とする制度」と明記されています。

重要なのは、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(技能実習法第3条第2項)という原則です。つまり、建前上は人材不足を補うための制度ではないとされていました。しかし実態としては労働力補充の手段として使われているとの批判が長年続いており、それが制度改正の大きな理由の一つとなっています。

育成就労制度:技能実習の「発展的解消」

育成就労制度の運用要領は、制度の目的を「育成就労産業分野において、我が国での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的」と定めています。

技能実習とは異なり、人材確保と人材育成の両立を正面から掲げています。技能実習制度が「発展的に解消」され、特定技能制度との連続性を持つ制度として設計されています。

特定技能制度:即戦力としての外国人材受入れ

特定技能の運用要領は、「中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきている」ことを背景に、「一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することが求められている」と説明しています。人材不足への対応を目的として創設された最も率直な制度です。

在留期間の比較

第1号技能実習(1年以内)→ 第2号技能実習(2年以内)→ 第3号技能実習(2年以内)の順に進み、最長5年間在留できます。ただし、第2号・第3号に移行するためには、前段階の目標(技能検定等の合格)を達成していることが条件です。また、第3号技能実習を行うためには、受入れ企業(実習実施者)が一定の基準を満たしている必要があります。
育成就労の在留期間
原則として3年間の育成就労計画を作成し、機構から認定を受けます。この3年間で特定技能1号水準の技能を習得させることが目標です。なお、技能実習のように号区分はなく、一体的な期間として扱われます。育成就労を修了した外国人は、特定技能1号へのスムーズな移行が想定されています。
特定技能の在留期間
1号:1回の許可で最長3年。通算で原則5年以内という上限があります(ただし、やむを得ない事情により最長6年まで延長可能な場合あり)。

2号:1回の許可で3年、2年、1年、または6か月が付与されます。更新回数に上限がなく、理論上は無期限に在留を継続できます。また永住許可の要件を満たす場合は永住申請も可能です。

転籍(転職)のルール ─ 最も重要な違いの一つ

受け入れる企業にとって最も気になる点の一つが「転籍(転職)の可否」です。三つの制度でルールが大きく異なります。

技能実習:原則として転籍不可

技能実習制度では、技能実習生が別の実習先に移る「転籍」は原則として認められていません。例外が認められるのは、実習実施者の倒産・整理解雇、暴行・脅迫などの人権侵害行為、雇用契約の重大な違反といった「やむを得ない事情」がある場合に限られます。

この転籍制限が外国人技能実習生の「逃げられない」状況を生み出し、劣悪な労働環境の温床になったという批判が強く、制度改正の主な論点となりました。

育成就労:条件付きで転籍可能(本人の意向による転籍)

育成就労制度では、一定の条件を満たせば本人の意向による転籍が可能になりました。これが技能実習との最大の違いの一つです。

本人の意向による転籍に必要な条件(主要なもの)

なお、やむを得ない事情(実習継続が困難な場合、雇用契約の重大な違反、人権侵害行為、法令違反等)がある場合は、上記の制限期間や試験合格の条件を問わず転籍が認められます。

なお、育成就労の運用要領では、本人の意向による転籍に際して、監理支援機関・外国人育成就労機構・ハローワーク・地方運輸局以外の者が行う職業紹介(民間の職業紹介会社など)を利用した場合、転籍が認められないことが明記されています。転籍のマッチングは公的な機関を通じて行うことが求められており、営利目的の民間仲介業者の介入は制度上認められていません。

特定技能:転職は比較的自由

特定技能では、同じ特定産業分野内であれば比較的自由に転職できます。ただし、転職先の特定技能所属機関を変更する場合や特定産業分野を変更する場合は、在留資格変更許可を受ける必要があります。また、変更申請中は転職先での就労活動は認められません。

家族帯同の可否

制度 配偶者・子の帯同 備考
技能実習 不可 技能実習の趣旨(技能習得・移転)に反するため認められない
育成就労 不可 育成就労期間中は原則として家族帯同は認められない
特定技能1号 不可 在留期間の上限(通算5年)があることから家族帯同は認められない
特定技能2号 可(配偶者・子) 「家族滞在」の在留資格で配偶者・子の帯同が可能。更新制のため長期就労が可能なことが前提

外国人労働者の定着や生活の安定を図る観点から、家族帯同が認められるかどうかは非常に重要な点です。家族を連れて日本で長期的に暮らすことを希望する外国人にとっては、特定技能2号が現実的な選択肢となります。

三つの制度の「つながり」を理解する

技能実習・育成就労・特定技能は、それぞれ独立した制度ですが、「移行ルート」として連続性があります。

制度間の移行ルート(主要なもの)
注意:特定技能1号を修了したからといって自動的に特定技能2号に移行できるわけではありません。特定技能の運用要領には「特定技能1号を経れば自動的に特定技能2号に移行できるものでもなく、他方、試験の合格等により特定技能2号で定める技能水準を有していると認められる者であれば、特定技能1号を経なくても特定技能2号の在留資格を取得することができます」と明記されています。

まとめ:どの制度を選ぶべきか

三つの制度には以下のような特徴があり、企業の状況や外国人材に求めるものによって選択が変わります。

現時点(2027年3月まで)で外国人材を受け入れたい場合の選択肢。ただし、育成就労への移行に向けた準備も並行して進めておくことが望ましい。外国人保護の観点から監理体制の整備が重要。
育成就労が向いているケース
2027年4月以降、人材育成から始めて特定技能への移行を見据えたい場合。技能実習より外国人の権利保護が手厚く、本人の意向による転籍も条件付きで認められる。人材を「育てる」意欲のある企業に適している。
特定技能が向いているケース
即戦力を求める場合は特定技能1号。試験合格者または技能実習2号修了者を即採用できる。長期的な外国人材の定着・キャリアパスを考えるなら特定技能2号を視野に入れる。2号は家族帯同・永住許可の可能性もあるため、外国人側の定住意欲も高まりやすい。

各制度の詳細な要件や手続きは複雑です。受け入れを検討されている方はぜひ一度、専門家にご相談ください。

参考資料(一次情報)

外国人雇用に関するご相談は辰己行政書士事務所へ

技能実習・育成就労・特定技能の手続きについて、丁寧にご説明いたします。
まずはお気軽にお問い合わせください。

無料でお問い合わせする